炭鉱用語集














  どこの業界にもいわゆる「業界用語」なるものが存在しますが、炭鉱も例外ではなく「炭鉱用語」
 が存在します。
  ここではそんな炭鉱ならではの言葉たちを、私が炭鉱入社時にもらった「新入社員のための簡
 単な炭鉱用語集」の中からいくつか拾い上げて紹介したいと思います。
 


 オーライ  「もうそれでいいから動かさないように」つまり「ストップ」と言う意味。通常の「動かせ」
 とは逆の意味になるので注意。
 卸 し  坑内に向かって深いほうに向かう坑道を「卸し」と言う。
 昇 り  「卸し」の反対語。
 ぎ る  炭車を押して急カーブを通過する時脱線しないように、凾体を曲がる方向へ押してや
 る事を「ぎる」と言う。
 切 羽  採 掘 場
 坑 底  斜坑や竪坑の終点
 繰込み  その日その日の作業と各人の役割を決める事。「繰込場」はそれを行なう場所。
 坑 口  坑内への入口
 尻 割
(けつわり)
 昔、夜逃げなどでそのヤマを離れる事をこう言った。
 差す・巻く  坑口から深くなるほうへ鉱車を動かす事を差すと言い、その反対を巻くという。
 先 山
(さきやま)
 山中で大勢で仕事をする際の棟梁(先たて)。昔の炭鉱では石炭を掘り出す事、ま
 たその人という意味で使われた。最近ではグループのリーダーと言う意味で使われ
 ている。
 助 先
(すけさき)
 文字通り先山を助け、先山の代行が出来る人。
 笹部屋  係員などが坑内で作業の打ち合わせをしたり、日誌を書いたりする簡単な詰所。
 しゃくる  巻揚機や機関車を運転するのにギクシャクと動かしたり止めたりする事。
 どまぐれ 人の道を踏み誤る事。転じて鉱車が脱線した事を「どまぐれた」と言う。
 どま揚げ  脱線の復旧をする事。
 つ る  ツルハシ
 炭 塵  石炭の粉で普通20メッシュ(約1立方ミリ)以下のもの。また揮発分11%以上あるも
 のを爆発性炭塵と言う。炭塵は空中に舞う状態で適当な火源に合うと爆発を起こす
 ので、炭塵爆発防止の設備またはきまりを良く理解し、実行していく事が必要。
 山鳴り  採掘後の影響などで天盤などが動き、岩石の亀裂が出来たり曲がったりする時に
 発する雷鳴のような音。
 ぼ た  石炭と共に採掘された石炭以外の岩石や、掘進によって出た岩石の事。硬。
 凾(はこ)  硬車、炭車の事
 ボーシン  Bosum(水夫長、甲板長)のなまったもので、機械、電気、保線などの職種で先山の
 ことをボーシンと言う。
 松 岩  石炭層内やその上下盤の中に存在する硅化木の事で、硬度が高く石炭層内に存
 在する松岩は採掘能率を阻害する大きな原因になる。
 密 閉  坑道内に空気が通らないように遮断する事。 採掘が終った個所、不要になった坑
 道、自然発火などの恐れがある個所などを密閉する。
 山はね  採掘の影響で岩盤内のバランスが崩れ、その内部エネルギーに耐えきれなくなった
 岩石や石炭が急激にはね出してくる現象を言う。
 山の神  大山祗神社(炭鉱の守護神)
2002.4.29.作成




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